奈良県桜井市に鎮座する大神神社は、日本最古の神社の一つとして知られています。三輪山をご神体とする独特の信仰形態を持ち、古来より多くの人々の信仰を集めてきました。
大神神社の歴史と由来
大神神社の創建は神代にまで遡るとされ、その歴史は『古事記』や『日本書紀』にも記されています。伝承によると、大国主神の幸魂・奇魂である大物主大神が、国造りのために自らを三輪山に祀るよう望んだことが始まりとされています。大神神社の特徴として、本殿を持たないことが挙げられます。これは、三輪山そのものをご神体としているためです。拝殿から三ツ鳥居を通して三輪山を拝むという、日本古来の神祀りの形を今に伝えています。中世には三輪流神道の中心地として栄え、近世には幕府から社領を安堵されるなど、歴史を通じて重要な位置を占めてきました。
大神神社の御祭神とご利益
大神神社の主祭神は大物主大神(おおものぬしのおおかみ)です。大物主大神は国造りの神様として知られ、そのご利益は多岐にわたります。主なご利益
- 農業、工業、商業などの産業開発
- 方除(ほうよけ)
- 病気平癒
- 酒造り
- 製薬
- 交通安全
- 航海安全
- 縁結び
特に、崇神天皇の時代に流行した疫病を鎮めたとされることから、医薬の神様としても広く信仰を集めています。また、酒造りの神様としても知られ、日本酒にゆかりの深い神社でもあります。
大神神社の見どころ
- 大鳥居:高さ32.2m、柱間23mの大鳥居は、日本有数の大きさを誇ります。三輪山を背景に威風堂々とした姿を見せ、大神神社の象徴的な存在となっています。
- 三ツ鳥居:拝殿の奥にある三ツ鳥居は、大神神社独特の形をしています。中央の大きな鳥居の左右に小さな鳥居が配置された珍しい形状で、重要文化財に指定されています。
- 拝殿:1664年に徳川家綱によって再建された拝殿は、重要文化財に指定されています。三ツ鳥居を通して三輪山を拝むことができます。
- 夫婦岩:参道にある二つの岩が寄り添う姿から「夫婦岩」と呼ばれ、良縁や夫婦和合のご利益があるとされています。
- なでうさぎ
参集殿の玄関にある「なでうさぎ」は、撫でると運気アップや体の痛みが取れるとされる人気のスポットです。 - 狭井神社:大神神社の摂社である狭井神社には、三輪山を水源とする「薬井戸」があります。この水は「くすり水」として信仰され、健康祈願の参拝者が多く訪れます。
御朱印情報
大神神社では複数の御朱印を授与しています。
- 通常の御朱印
- 初穂料:300円
- 受付時間:9:00〜17:00(冬期は16:30まで)
- 場所:拝殿前の授与所
- 拝殿の御朱印(巳の神杉)
- 初穂料:1000円
- 特徴:右側に「大和国一之宮」「大神神社」と墨書き、左側に巳の神杉からの拝殿が描かれています。
- 拝殿の御朱印(注連縄)
- 初穂料:1000円
- 特徴:右側に「大和国一之宮」「大神神社」と墨書き、左側に注連縄越しの拝殿が描かれています。
御朱印帳も販売されており、表面に大神神社の拝殿、裏面に三輪山と社紋が描かれています(初穂料:2000円)。
周辺観光スポット
- 長谷寺
大神神社から約5km。西国三十三観音霊場第八番札所として知られる古刹です。 - 安倍文殊院
大神神社から約3km。知恵を授かる寺院として有名です。 - 石舞台古墳
大神神社から約10km。巨大な石室で有名な古墳です。 - 橿原神宮
大神神社から約10km。初代天皇・神武天皇を祀る神社です。 - 山の辺の道
大神神社周辺を通る日本最古の道。古代の雰囲気を感じながらハイキングを楽しめます。
アクセス情報
最寄り駅:JR桜井線(万葉まほろば線)三輪駅
- 三輪駅から徒歩約5分
- JR・近鉄桜井駅からシャトルバスで約20分(土日祝のみ運行)
車でのアクセス:
- 京奈和自動車道 橿原北ICより約21分
駐車場:
- 普通車590台(通常無料、正月特別期間は有料)
大神神社は、日本最古の神社の一つとして、また独特の信仰形態を持つ神社として、多くの人々を魅了し続けています。豊かな自然に囲まれた神聖な雰囲気の中で、古代からの信仰の形に触れることができる貴重な場所です。




